2020年5月8日

コロナ禍で結婚式はどうなっている?現役プランナーに聞いたリアルな今

新型コロナウィルスの感染拡大等の影響により、全国的な不要不急の外出自粛が求められている今。結婚式を予定していたカップルや結婚式場はどのようにして、この危機と向かい合っているのでしょう? 現役ウェディングプランナーへ、その現状を伺ってみました。

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“春婚”を予定していた新郎新婦さまの現状は?

――3月~6月ごろの結婚式を予定していた新郎新婦は、今どうしていますか?

「2月下旬に行われる結婚式に関して、つまり2月の中旬ごろから、首都圏の結婚式場を中心に『延期を検討しています』というご相談をいただくようになりました。式場側も、そういった事態を想像はしていましたが……。おそらく、これほどまでに状況が深刻化したり長引くことは想定していなかったように思います。

その後は日を追うごとに、新郎新婦さまから『やっぱり、やらない方がいいのでしょうか?』というお声をいただくことが増えましたね。大切な記念日になるはずの結婚式が、こういう形で先延ばしになることへの戸惑いや不安、ストレスは相当なものだと思います。しかしやはりお祝い事は、新郎新婦さまやゲストの皆さまの命や健康あってのもの。親御様やご親族の中には、ご高齢の方がいらっしゃることも多いですから、少しでも心配なら、無理に執り行わない方がよいでしょう。

3月に入ってから今日に至るまでは、6月までほぼすべての結婚式が延期に向けて動き出しています。地方の結婚式においても延期の相談が増えてきたのは、そのころからですね。マタニティなどのケースでは『中止』が選択される場合もありますが、ほとんどは半年~1年以内に『延期』なさるようです」

 

『緊急事態宣言』後の結婚式場が思うこととは?

――政府の『緊急事態宣言』を受け、結婚式場ではどのような対応を取っていますか?

「『緊急事態宣言』の発令前でも、予定通りに結婚式を挙げることに抵抗をお持ちの新郎新婦さまには『延期』をオススメしていました。そして発令後にはさらに強く、基本的には『延期』していただけるよう、お願いをしている式場がほとんどだと思います。

しかし15組に1組くらいの割合で「え? 絶対に延期しなきゃダメですか?」とおっしゃる新郎新婦さまがいらっしゃいますね。この状況を深刻には捉えておらず、心配や不安をお持ちでないようなんです。確かに式場側は感染予防対策を行っています。でも当日、万が一無症状感染者がいたら? その人を経由して、誰かが罹患してしまったら? 自分たちの結婚式から感染者が出たなんて、一生に一度の結婚式がとても悲しく残念な思い出になってしまうと思うのですが……。

そんな場合、実はゲストの皆様も予定通りに結婚式が行われることを心配なさっています。式場宛にこっそりと『結婚式はやるんですか?』と、お電話いただくこともめずらしくありません。『友人のお祝いだから行かなければ、と思っていますが……。とても不安です』というお悩みの声も、たくさん耳にしています。新郎新婦さまには、大切なゲストの方々の健康や心情にもご配慮いただいた上で決断していただきたいと思います。今、どうすべきなのか……。答えは明白ですよね」

 

出欠をめぐって長年の友情が壊れてしまう!?

――新郎新婦のまわりに、トラブルなどは起きていませんか?

「結婚式の2~3か月前に発送される招待状。3月末には『招待状を送ったら、ほとんどが欠席の連絡だった』というのが、今の日本の現状です。とても残念なお話ではありますが、ゲストの中には小さなお子様やご高齢の親御様と一緒に暮らしている人も大勢いらっしゃいます。おふたりの結婚を祝福したい気持ちがあったとしても、万が一、自分の身に何か起こってしまったら……と、慎重な決断をすることは理解して差し上げるべきでしょう。

実は、そんなゲストの欠席を不愉快に思う新郎新婦様さまがいる様子も散見されます。『親友だと思っていたのに!』『久しぶりに会えることを楽しみにしていたのに……』確かにその気持ちも分かります。でも“国難”と呼ばれるこの状況下では、自分の身の安全や家族の安全を優先する行動を取るのは、当たり前のこと。自分たちの価値観や常識を押し付けすぎることなく、互いの意見を尊重しながら、再び笑顔で会えるときを落ち着いて待ちたいものですよね。『こういうときに人の本性が見える』と相手を非難する人もいらっしゃるようですが……。その一方では冷静を保ち、相手の気持ちを考えられる自分を育てている人たちもいることを心得ておきましょう」

 

まとめ

誰もが不安と闘い、明るい未来をイメージしながら自粛生活に耐えている最中です。今、無理をするのではなく、新郎新婦様やゲストが笑顔で会える結婚式を目指した方が、盛大に祝福をしていただけることは間違いありません。一生に一度の結婚式ですから、幸せを実感できる1日になるよう計画を立てたいですね。